ひとつぶのお米
~上演に向けて~
飽食の現在、廃棄される食料、食品は1800万トンになるそうです。食べ残し、消費期限切れなど理由はあるでしょうが実際に廃棄されています。
中には「もったいない」と思う方もおられるでしょうが、なんの躊躇もなく捨ててしまう人も大勢いることでしょう。しかしそれらは間違いなくある期間をかけて
育てられた命なんです。育てた方がおられます。
「米一粒粗末にしない」昔の日本人はそうして命の尊さ、作られる方の苦労を大切にしました。
現在は違うの?そんな事ないはずです。今現在飢餓に苦しむ人達が世界中におられます。その人達に余った食料を届ける事はなかなか難しい。だからこそ無駄に
してはいけないと思うのです。
今回のお芝居はそんな事を感じていただきたいという想いから昔話ふうに作りました。
「食べ物を粗末にしたら罰が当たるぞ!」
~あらすじ~
むかしむかしある所に大層裕福なお坊様と、惣兵衛という貧乏な百姓の少年がおりました・・・
ある日の事、惣兵衛が初穂をもらいに行くお坊様のお供をする事になりました。
ところがお米を受け取り、運ぶのは全て惣兵衛にさせ、お坊様は行く家行く家でお酒ばかりいただいていました。そして最後の家から初穂を受け取り、寺へ帰る途中、お酒に酔ったお坊様が惣兵衛にぶつかり、大事な初穂を落としてしまったのです。惣兵衛は必死に拾おうとしますが、お坊様から、「こりゃ砂がついて食べられん。こうしたらいいんじゃ」と大事なお米を地面に捨て、足で踏み、砂で隠してしまいました。
惣兵衛はびっくりしますが、「わしが間違った事なんかするわけない」と言われ、素直な惣兵衛はお坊様の言われるまま同じようにお米を粗末に扱ってしまいました。
その日の晩、婆ちゃんに今日あったことを話すと、何て事をしたんだと叱られ、お前に罰が当たらなければいいが・・・と言われ、そんな事あるわけないと言った惣兵衛でしたが、そういった途端、お米を踏んだ足が痛くて痛くてたまらなくなりました。
さぁ、惣兵衛さんの足は治るのでしょうか?同じ事をしてしまったお坊様はどうなるのでしょうか・・・?